令和7年以降の中小企業省力化投資補助金をわかりやすく解説

はじめに:

中小企業の皆さん、特に製造業で人手不足にお悩みの経営者の方へ朗報です。人手不足の解消や生産性向上を目的に、政府は「中小企業省力化投資補助金」という制度を実施しています。令和7年(2025年)からこの補助金制度が大きくリニューアルされ、より利用しやすくなりました。本記事では、中小企業診断士の視点から、この補助金のポイントをブログ形式でやさしく解説します。対象となる企業の条件や補助対象となる設備、補助金額や申請方法、採択のコツ、そして最新の制度改正点まで、順番に見ていきましょう。

対象事業者(誰が申請できるの?)

中小企業省力化投資補助金の対象となる事業者は、中小企業基本法に定める中小企業や小規模事業者が中心です。具体的には、製造業であれば資本金3億円以下または従業員300人以下、小売業なら資本金5,000万円以下または従業員50人以下といった基準があります。業種による制限は特になく、製造業以外のサービス業や小売業など 人手不足に直面している幅広い業種 が対象です。また、一部の中堅企業(資本金10億円未満・従業員数が一定以下の企業)や、特定非営利活動法人(NPO)・社会福祉法人といった法人も対象に含まれます。重要なのは、人手不足の解消や業務効率化に意欲があり、補助事業終了後に生産性や付加価値の向上を達成できる見込みのある企業であることです。

※なお、大企業が実質的に経営に関与している「みなし大企業」や、他の類似補助金と重複する事業、申請直前に資本金や従業員数を基準以上に増やした場合などは対象外となるので注意しましょう。

補助対象経費・設備(何に使えるの?)

この補助金では、 IoT機器やロボット、AIシステムなどのデジタル技術を活用した設備投資 が広く支援対象となっています。具体的な補助対象経費には、以下のようなものが含まれます:

  • 機械装置・システム構築費: 生産ラインの自動化機械、検品用のAIカメラシステム、物流の自動搬送装置などの購入費や開発費。
  • 技術導入費・専門家経費: 機械導入に伴う技術指導料や専門家へのコンサルティング費用。
  • 運搬費・据付費: 設備を設置するための搬入・据え付けにかかる費用や、機械の配送・郵送費用。
  • クラウドサービス利用料: IoT機器や生産管理システム等で利用するクラウドソフトウェアの利用料金。
  • 外注費: システム開発やアプリ作成を外部に委託する場合の費用。
  • 知的財産権関連経費: 導入する技術に関連する特許取得費用 など。

これらは「業務プロセスの自動化・高度化」や「ロボット導入による生産プロセス改善」といった省力化投資に直接関係する経費です。例えば、製造業の現場で 協働ロボットを導入して作業を自動化 したり、倉庫管理をデジタル化して 在庫管理を効率化 するといった取り組みが該当します。ソフトウェアとハードウェアを組み合わせた包括的な投資も対象となるため、自社の課題に合わせて柔軟に機器やシステムを選ぶことができます。

補助金の額と補助率(いくらもらえるの?)

補助金額は企業規模によって異なり、 「カタログ注文型」と「一般型」 のどちらで申請するかによって上限額や補助率が変わります。令和7年からはカタログ掲載製品以外の設備も対象となる 一般型(オーダーメイド型) が新設され、より大型の投資案件にも対応できるようになりました。以下に主要な違いをまとめます。

  • カタログ注文型: あらかじめ国が効果を認めカタログ掲載された汎用的な省力化製品を導入する場合の枠です。補助率は一律で導入費用の1/2で、補助上限額は従業員規模に応じて 5人以下で200万円、6~20人で500万円、21人以上で1,000万円 が基本上限となります(※「大幅な賃上げ」を行う計画の場合は上限がそれぞれ 300万円・750万円・1,500万円 に引き上げ)。比較的小規模な設備投資向けで、公募から交付申請までの手続きも簡易です。
  • 一般型: 自社の現場ニーズに合わせたオーダーメイドの省力化設備や、カタログ未掲載の最新機器を導入する場合の枠です。補助率は基本的に中小企業で1/2(小規模企業や再生事業者※は 2/3)となり、補助上限額は 5人以下で750万円、6~20人で1,500万円、21~50人で3,000万円、51~100人で5,000万円、101人以上で8,000万円 が基本上限です(大幅な賃上げを行う場合、それぞれ 1,000万円、2,000万円、4,000万円、6,500万円、1億円 に上限アップ)。なお、一般型では 補助金額1,500万円を超える部分については補助率が1/3に下がる ルールがあります。大規模な設備投資にも対応でき、申請から事業完了までの期間も最大18ヶ月と長めに設定されています。

※補助率2/3が適用される小規模・再生事業者: 常時使用する従業員が20人以下(商業・サービス業は5人以下)の小規模事業者や、経営再建中の再生事業者が該当します。また、中小企業でも最低賃金近辺の従業員が多い場合は「最低賃金引上げ特例」の条件を満たすことで、一部補助率を2/3に引き上げることが可能です。

企業規模が大きいほど上限額も高く設定されていますが、その分、自社の 賃上げ計画生産性向上計画 が求められます。特に「大幅な賃上げ特例」による上限引き上げを受ける場合、計画期間中に給与総額を年平均+6%以上増加させ、かつ事業場内最低賃金を地域の最低賃金より+50円以上にする という条件を満たす必要があります。これらを達成できなかった場合は、上乗せ分の補助金を返還するルールになっていますので、無理のない計画を立てることが重要です。

応募方法とスケジュール(どうやって申し込む?)

応募はオンラインで行います。 まず事前に「GビズIDプライムアカウント」という政府系の電子申請用IDを取得しておきましょう。ID取得には数週間かかる場合があるため、早めの準備が肝心です。公募は年度内に複数回実施されており、それぞれ申請受付の開始日と締切日が設定されます。例えば、令和7年(2025年)第2回公募では4月25日に受付開始、5月30日が締切、結果発表は8月中旬 というスケジュールでした。第3回公募では 8月上旬に受付開始、8月下旬締切、11月下旬に採択結果公表 という短期決戦型の日程で行われています。基本的に 公募開始から締切までおおむね1ヶ月程度 しかありません。したがって、募集開始前から公募要領(応募の手引き)を読み込み、事業計画書等の提出書類をあらかじめ準備しておくこと が大切です。応募書類はすべて電子ポータル上で提出し、その後書面審査がおこなわれます。

申請にあたっては、地域の商工会議所や中小企業支援機関による事前相談会や説明会を活用すると良いでしょう。書類の書き方や注意点についてアドバイスをもらえる場合があります。また、日本政策金融公庫による併用融資制度も用意されているので、自己資金不足を補うために検討してみてください。

採択率と審査のポイント(受かるためのコツは?)

気になる採択率ですが、比較的チャンスは大きいと言えます。令和7年の第3回公募では 2,775件の申請に対し1,854件が採択されており、約2/3が選ばれました。第1回・第2回でも採択率はおよそ60~70%程度で推移しており、一定の条件を満たした計画であれば十分採択される可能性があります。ただし、「書けば必ず通る」わけではありませんので、審査のポイントを押さえた申請書作成が重要です。

審査で特に見られるポイント は次の通りです:

  • 省力化の効果: 提案する設備投資によって、自社の業務量をどれだけ削減できるかを具体的な数字で示しましょう。例えば「作業時間を○○%短縮」「人手作業を△△時間削減」のように、効果を定量的に記載します。国が認めたカタログ製品を使う場合は効果が証明済みですが、オーダーメイド設備の場合は自社で効果を丁寧に説明する必要があります。
  • 収益性・投資回収見込み: 補助対象事業はあくまで将来の成長投資です。導入設備の 投資回収期間(ROI) が妥当か、根拠資料(試算表や見積書)を添えて示しましょう。補助金導入後のコスト削減額や増収見込みなどを盛り込み、「この投資で○年で元が取れる」ことが伝わると高評価です。
  • 付加価値向上計画: 補助事業実施から3~5年で、自社の付加価値額(営業利益+人件費+減価償却費)が増加する見通しであることを計画に織り込んでください。具体的には、労働生産性(従業員一人あたり付加価値)を年率4%以上向上させることがひとつの目標となります。これは単なる売上拡大だけでなく、生産プロセスの効率化による利益率改善も重視するという趣旨です。
  • 賃上げや雇用への波及効果: 補助金の目的のひとつに「賃上げ」があります。できれば 計画期間中の賃金引上げ施策 についても触れましょう。先述の賃上げ要件を満たす計画であれば上限額アップのメリットがありますし、そうでなくとも「従業員待遇の改善に努める姿勢」は評価につながります。また、省力化投資によって生まれた余力で新規事業に乗り出したり、付加価値の高い仕事に人員をシフトさせる展望を示すと、より前向きな計画として映るでしょう。

これらのポイントを踏まえ、 事業計画書にはできるだけ具体的な数字や根拠を示す ことが採択への近道です。必要なら専門家(中小企業診断士やITコーディネータ等)の協力を仰ぎ、説得力のある計画を作成してください。

最新の制度改正・注目ポイント(2025年度の変更点など)

最後に、令和7年度(2025年度)以降の最新トピックを押さえておきましょう。制度が刷新されたことで、前年までとは以下の点が変わりました。

  • 「一般型」枠の新設: 前述のとおり、2025年度からはカタログ未掲載の設備も自由に導入できる 一般型(オーダーメイド型) がスタートしました。これにより、「カタログに欲しい製品が載っていない…」という場合でも補助金を使えるようになりました。製造現場に合わせたカスタマイズ機械や、自社開発のシステム導入なども対象になるため、製造業の方には特に追い風と言えます。
  • カタログ注文型の利用ハードル緩和: 令和7年2月から、カタログ型の運用も使いやすく改善されました。販売事業者(機械を販売する販社)の登録 方法が見直され、これまではメーカーからの招待が必要だったのが、今後は事務局ホームページ上で販売店自身が直接登録できるようになりました。また、補助上限額の設定方法 も変更され、製品ごとに一律だった上限額が販売店の実績に応じた形で登録されるようになっています。身近な地域の販売店からでも補助申請がしやすくなり、導入後のアフターサポートも受けやすくなると期待されています。
  • 予算の大幅拡充: 中小企業省力化投資補助金には政府も力を入れており、令和6年度補正予算では 3,000億円 もの予算が計上されました(前年は1,000億円規模)。この潤沢な予算のおかげで採択枠も広がっており、思い切った設備投資案件でも採択されやすくなっています。「うちの規模では無理かも…」と尻込みせずに、まずはチャレンジしてみる価値があるでしょう。
  • 賃上げ要件の重視: 最近の補助金制度全般の傾向として、賃上げに取り組む企業が優遇されています。本補助金でも大幅賃上げ特例や最低賃金引上げ特例が盛り込まれており、単に機械を入れて効率化するだけでなく 社員に還元する姿勢 が求められます。計画策定時には、人材育成や給与アップ等の取組も併せて検討すると良いでしょう。

以上、令和7年以降の中小企業省力化投資補助金について、製造業を中心とした中小企業経営者の方向けに解説しました。人手不足という喫緊の課題に対し、この補助金は 「攻めの設備投資」で乗り越える絶好のチャンス です。制度を上手に活用し、自社の生産性向上と持続的な成長につなげてください。分からない点があれば地域の支援機関や専門家に相談し、ぜひ前向きに挑戦してみましょう。

中小企業省力化投資補助金は、人手不足に悩む中小企業にとって、非常に有効な制度です。

ただし、
事業計画の作成
賃上げ要件の設計
補助対象経費の判断
を自己判断で進めてしまうと、「本来もらえたはずの補助金を逃す」「後から修正が必要になる」といったケースも少なくありません。

制度を正しく理解し、自社に合った形で最大限活用したい方は、
ぜひ DHorse社会保険労務士事務所までご相談ください。

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参考資料:

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