【2026年第1回】新事業進出補助金|対象・経費・賃上げ要件・申請準備

2026年第1回の新事業進出補助金で新市場と設備投資を検討する中小企業経営者向け記事のサムネイル

既存事業と異なる製品・サービスを新しい顧客層へ届けるため、設備投資や建物の改修を検討している中小企業にとって、「新事業進出補助金の第1回公募は使えるか」は重要な判断です。

2026年の正式名称は「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」です。この記事では、3つの枠のうち既存事業と異なる新市場・高付加価値事業への進出を支援する「新事業進出枠」を中心に解説します。

公募要領1.2版(2026年8月14日更新)、中小企業基盤整備機構の日程変更案内、公式FAQを基に、対象者、対象取組・経費、申請準備、賃上げ要件、中小企業が見落としやすい注意点を整理します。

日程に関する重要な更新

当初案内された「8月31日受付開始・9月30日18時締切」は変更前の日程です。最新日程は2026年9月30日受付開始、10月30日18時締切です。

結論:新事業進出枠は5項目で候補かを判断

次の5項目におおむね当てはまるなら、新事業進出枠を詳細に検討する価値があります。

  1. 従業員が1人以上おり、創業後1年以上である
    新事業進出枠では、従業員0人の事業者と創業後1年未満の事業者は対象外です。
  2. 自社にとって新しい製品・商品・サービスを提供する
    過去に製造・提供していたものの再開や、単なる増産では足りません。
  3. 既存事業と異なるニーズ・属性を持つ顧客層へ進出する
    同じ顧客層向けのメニュー追加や、商圏を変えるだけでは対象にならない可能性があります。
  4. 補助下限750万円に見合う投資と立替資金を準備できる
    補助率1/2で下限の750万円を申請するには、原則として少なくとも税抜1,500万円の対象経費が必要です。さらに、入金までは事業費を自社で支払います。
  5. 3~5年の付加価値・給与・最低賃金目標を実行できる
    単に設備を買う制度ではありません。賃上げ要件等の未達は返還につながる場合があります。

一方、投資の主目的が新市場進出ではなく、人手不足解消・省力化にある場合は中小企業省力化投資補助金(一般型)も比較してください。

重要:申請期間は9月30日~10月30日18時へ変更

項目 最新日程 変更前日程
公募開始 2026年6月29日 2026年6月29日
申請受付開始 2026年9月30日 2026年8月31日
申請締切 2026年10月30日18時 2026年9月30日18時
採択発表 2027年1月頃予定

中小企業基盤整備機構は2026年7月17日、申請受付スケジュールの変更を公表しました。その後更新された公募要領1.2版にも、最新日程が反映されています。検索結果や更新前の案内には旧日程が残っている場合があるため、申請前に必ず公式特設サイトと最新版PDFを再確認してください。

旧「新事業進出補助金」との違い

「新事業進出補助金」という通称から、2025年に始まった旧「中小企業新事業進出補助金」と混同しやすい点に注意が必要です。

区分 内容
旧制度 「中小企業新事業進出補助金」。2026年6月で公募終了
今回の制度 「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」。新事業進出枠のほか、革新的新製品・サービス枠とグローバル枠がある

過去の新事業進出補助金の解説や様式をそのまま使わず、今回の第1回公募要領で対象者、対象経費、賃上げ要件、必要書類を確認しましょう。

対象事業者と先に確認する対象外条件

対象は、日本国内に本社と補助事業実施場所を有する中小企業者、小規模企業者・小規模事業者、特定事業者の一部、一定のNPO法人・農事組合法人等です。一般的な会社・個人事業主の中小企業基準は、主たる業種ごとに資本金または常勤従業員数で判定します。

主たる業種 資本金 常勤従業員数
製造業・建設業・運輸業 3億円以下 300人以下
卸売業 1億円以下 100人以下
サービス業(一定の例外業種を除く) 5,000万円以下 100人以下
小売業 5,000万円以下 50人以下
ソフトウェア業・情報処理サービス業 3億円以下 300人以下
旅館業 5,000万円以下 200人以下
その他の業種 3億円以下 300人以下

新事業進出枠で先に確認すべき主な対象外

  • 応募申請時点で従業員が0人の事業者
  • 新規設立・創業後1年未満の事業者(新事業進出枠に限る)
  • みなし大企業
  • 直近3年の課税所得の年平均額が15億円を超える中小企業者
  • 申請締切日から16か月以内に、事業再構築補助金、旧・新事業進出補助金、ものづくり補助金等の交付候補者として採択された事業者
  • 申請締切時点で、上記の対象補助金の交付決定を受けて補助事業を実施中の事業者
  • 応募申請日から過去3年間に、事業再構築補助金、旧・新事業進出補助金またはものづくり補助金の交付決定を合計2回以上受けた事業者

この他にも、過去の取消し、未返還、報告未提出、法令違反、みなし同一事業者等の詳細な除外条件があります。過去の補助金に申請・採択・交付決定の履歴がある場合は、公募要領21~24頁と公式FAQを個別に照合してください。

補助対象となる取組:新製品等×新市場が必要

新事業進出枠では、次の2条件を両方満たす必要があります。

  1. 新製品等の新規性
    補助事業で新たに製造・提供する製品、商品、サービスが自社にとって新しいこと。日本初・世界初までは求められません。
  2. 新たな市場
    既存事業で対象でなかったニーズ・属性(法人・個人、業種、行動特性等)を持つ顧客層を対象とすること。

該当しにくい取組

  • 既存製品・サービスの製造量・提供量を増やすだけ
  • 過去に製造・提供していたものを再開する
  • 既存製品の製造方法を単に変える
  • 既存と同じ顧客層向けの単なるメニュー追加
  • 既存製品のまま、商圏だけを変える

たとえば、飲食店が既存の店内メニューを1品増やすだけでは、新たな顧客層とは言いにくいでしょう。一方、自社が過去に提供していない製品・サービスを、既存と異なる具体的なニーズを持つ顧客層へ展開し、売上・付加価値を作る計画であれば検討余地があります。対象の判断は設備名ではなく、新製品等・顧客層・市場性・自社の優位性・収益計画を一つのストーリーで説明できるかで考えます。

補助率・上限・事業期間

新事業進出枠の補助率は、小規模事業者も含めて原則1/2です。地域別最低賃金引上げ特例の適用を受ける場合は2/3です。

従業員数 通常の補助上限 賃上げ特例の上限
1~20人 2,500万円 3,000万円
21~50人 4,000万円 5,000万円
51~100人 5,500万円 7,000万円
101人以上 7,000万円 9,000万円
  • 補助下限:750万円
  • 補助率:1/2(地域別最低賃金引上げ特例の適用時は2/3)
  • 補助事業実施期間:交付決定日から14か月以内、かつ採択発表日から16か月以内

補助率1/2で補助額1,000万円を申請する場合、対象経費が税抜2,000万円ですべて認められれば、補助額は1,000万円です。ただし、実際には消費税、対象外経費、運転資金も自社負担です。さらに、採択は交付決定や申請額の満額交付を保証しません。交付申請と実績報告の審査で減額・対象外となる可能性を見込んだ資金計画が必要です。

補助対象経費と対象外経費

新事業進出枠では、機械装置・システム構築費または建物費のいずれかを含むことが必須です。一過性の広告・外注等が経費の大半を占める計画は、支援対象にならない場合があります。

経費区分 対象となる主な内容
機械装置・システム構築費 補助事業専用の機械・工具・器具、専用ソフトウェア・システムの購入、製作、構築、借用等。機械装置等は単価10万円(税抜)以上
建物費 補助事業専用の生産施設、加工施設、販売施設、検査施設、作業場等の建設・改修。建物の単なる購入や賃貸は対象外
運搬費 運搬料、宅配・郵送料等
技術導入費 補助事業に必要な知的財産権等の導入
知的財産権等関連経費 補助事業の成果に係る特許権等の取得に必要な弁理士費用・翻訳料等
外注費 検査、加工、設計等の一部を外注する費用。事業の主たる内容の丸投げは対象外
専門家経費 補助事業の遂行に必要な技術指導・助言等。事業計画書の作成支援者への経費は対象外
クラウドサービス利用費 補助事業専用のクラウドサービスの利用費のうち、原則として補助事業実施期間分
原材料費 試作品の開発に必要な原材料・副資材。受払簿の作成等が必要
広告宣伝・販売促進費 新たに製造・提供する製品・サービスの広告、ウェブサイト、展示会、ブランディング等。会社全体のPRは対象外

対象外になりやすい経費

  • 既存事業と共用する機械・システム・建物等
  • 事務所・店舗等の家賃、保証金、敷金、仲介手数料、水道光熱費
  • 販売・レンタル用の商品・製品・サンプル・予備品
  • 事務用パソコン、プリンター、タブレット、スマートフォン、カメラ、家具家電等の汎用品
  • 自社の人件費、国内旅費、飲食費、一般的な保険料・税金・振込手数料
  • 自動車等の車両、船舶、航空機等の購入・修理・車検・内装費
  • 事業計画書、申請書、報告書等の作成・提出に係る費用
  • 国の他の補助金・助成制度で支援対象となっている重複経費

対象の経費区分に名称があっても、新事業に専ら使用し、必要性・金額の妥当性を証憑で説明できなければ対象になりません。

賃上げ要件と未達時の返還リスク

補助事業終了後の3~5年の事業計画で、次の基本要件等に取り組みます。

要件 基本条件 確認時期・返還リスク
付加価値額 年平均成長率+4.0%以上 最終年度で目標達成を目指す。付加価値額は営業利益+人件費+減価償却費
一人当たり給与支給総額 年平均成長率+3.5%以上 最終年度で未達の場合、未達率に応じた返還対象となり得る。交付申請時までに従業員等へ目標を表明
事業場内最低賃金 毎年、地域別最低賃金+30円以上 毎年の事業化状況報告で未達の場合、補助金額を計画年数で割った額の返還対象となり得る
ワークライフバランス 次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を「両立支援のひろば」に公表 従業員数にかかわらずすべての申請事業者が対象。申請締切時点で有効な計画が必要
子育て等の職場環境整備 ライフデザインサービス、指定の家事代行・ベビーシッターサービス、子育て関連制度の周知等から1つ実施 応募申請で取組内容を記載し、実績報告で証憑を提出。一定のくるみん認定事業者は免除

賃上げ特例を申請する場合

補助上限の引上げを受ける賃上げ特例では、次の両方が必要です。

  • 一人当たり給与支給総額の年平均成長率:+6.0%以上
  • 事業場内最低賃金:毎年、地域別最低賃金より+50円以上

いずれか一方でも未達の場合は、特例による上限引上げ分の補助金全額が返還対象となります。また、基本の賃上げ要件では、従業員等に目標値を表明していないと交付決定の取消し・全額返還の対象です。

給与支給総額には給料、賃金、賞与等を含みますが、役員報酬、福利厚生費、法定福利費、退職金は除きます。パートタイム従業員の人数換算や中途入社・退職者の扱いにもルールがあるため、労働者名簿、賃金台帳、給与計算データで再現できる目標を設定しましょう。

申請までに必要な準備7ステップ

1.GビズIDプライムを取得する

申請は電子申請のみで、GビズIDプライムが必要です。公募要領では発行に1週間程度を要するとされています。ID・パスワードを外部支援者へ開示してはいけません。

2.一般事業主行動計画を策定・公表する

従業員100人以下の企業も対象です。申請締切時点で有効な計画を「両立支援のひろば」で公表します。公表に1~2週間程度を要し、審査過程で不備が見つかる場合もあるため、2週間以上の余裕を取ってください。

3.企業規模・創業日・補助金歴を確認する

履歴事項全部証明書、決算書、労働者名簿、株主・役員構成、過去3年の補助金の申請・採択・交付決定・完了状況を一覧にします。

4.新製品等・新市場・優位性を言語化する

既存事業と新事業を、製品・サービス、顧客層、顧客ニーズ、販売方法、価格、競合、必要な技術・ノウハウで比較します。市場規模と成長性は、調査元・年次が確認できるデータで裏付けます。

5.3~5年の数値計画と人員計画を作る

売上、原価、経費、営業利益、人件費、減価償却費、従業員数、一人当たり給与支給総額、事業場内最低賃金を連動させます。採用・退職、賞与、残業時間の増減も考慮してください。

6.投資仕様・見積・資金繰りを整える

投資を「必須」「あれば良い」に分け、新事業専用と言える設置場所・用途・管理方法を決めます。自己資金だけで実施できない場合は、早めに金融機関へ相談します。金融機関から資金提供を受ける場合、事業計画の確認を受けた「金融機関による確認書」が必要です。

7.添付書類を電子申請用に整える

公募要領で示された主な必須書類は次のとおりです。

  • 法人:直近3期分の貸借対照表、損益計算書、作成している場合の製造原価報告書・販売管理費明細等
  • 個人事業主:申告方法に応じた直近3期分の青色申告決算書または収支内訳書等
  • 申請時点の労働者名簿の写し
  • 収益事業を行っていることを説明する確定申告書別表一・法人事業概況説明書等
  • 金融機関から資金提供を受ける場合の金融機関確認書
  • 特例・加点を希望する場合の指定様式、賃金台帳等

3期分を提出できない場合は今期までの決算書をすべて提出しますが、新事業進出枠では最低1期分が必要です。電子申告の受付番号・日時、紙申告時の収受日付印または納税証明書にも注意してください。

申請から入金・事後報告まで

  1. 応募申請
    GビズIDプライムを使い、申請者自身が電子申請します。
  2. 審査・採択
    書面審査等を経て、補助金交付候補者が採択されます。
  3. 交付申請・交付決定
    採択後に経費内容・金額の審査を受け、交付決定が通知されます。
  4. 発注・契約・補助事業の実施
    交付決定後に着手し、期間内に納品、検収、支払いまで完了します。
  5. 実績報告・確定検査
    実施内容と経費の証憑を提出し、事務局が交付額を確定します。
  6. 請求・入金
    確定額を請求し、補助金が支払われます。
  7. 事業化状況報告等
    補助事業終了後、付加価値・賃金等を定期報告します。事業スキームでは5年間の報告が示されています。

特に注意すべきは、採択通知と交付決定は別の段階であることです。採択されただけで発注・契約・支払いをしないでください。

中小企業が失敗しやすい8つの注意点

1.変更前の締切を使う

記事タイトルや検索結果に「8月31日~9月30日」が残っていても、最新の公式情報を優先します。今回の最新締切は10月30日18時です。

2.旧制度の公募要領・様式を使う

旧・中小企業新事業進出補助金は公募終了済みです。今回の第1回公募要領と新しい電子申請の案内を使います。

3.買いたい設備から事業計画を作る

設備が先に決まると、新製品等・新市場・優位性・収益性とのつながりが弱くなります。経営戦略から必要な投資を逆算してください。

4.新市場を「新しい商圏」だけで説明する

新市場は、既存と異なるニーズ・属性を持つ顧客層で説明します。土地が違うだけで顧客層が同じなら、要件を満たさない可能性があります。

5.機械・建物を既存事業と共用する

補助事業で取得した財産は、原則として専ら新事業に使用します。既存事業への使用は目的外使用と判断され、返還につながる可能性があります。

6.採択後、交付決定前に着手する

採択後に交付申請があります。発注・契約・支払いのタイミングは、必ず交付決定通知を基準に管理します。

7.外部支援者へ申請を丸投げする

申請者は事業計画の作成、実行、目標達成に責任を持ち、必ず自分で内容を理解・確認して申請します。外部支援を受ける場合は、支援者名、支援内容、報酬予定額、契約期間の申告が必要です。

8.賃上げと証憑管理を採択後に考える

数値目標は申請段階から実行可能性を検証します。見積書、発注書、契約書、請求書、振込記録、納品書、検収記録、写真、成果物を経費ごとに紐づけ、実績報告・将来の調査に備えます。

よくある質問

小規模事業者なら補助率は2/3ですか?

新事業進出枠の基本の補助率は、小規模事業者も含め1/2です。地域別最低賃金引上げ特例の要件を満たす場合は2/3に引き上げられます。

建物の購入や賃貸は対象ですか?

建物の単なる購入・賃貸は対象外です。新事業専用の建物の建設・改修等は対象になり得ますが、入札または相見積も必要です。

新事業用のパソコンは対象ですか?

事務用パソコン、タブレット、スマートフォン等の汎用品は原則対象外です。

採択されたら発注してよいですか?

いいえ。採択後に交付申請を行い、交付決定通知を受けてから着手します。

他の補助金・助成金にも同時申請できますか?

同時の申請自体は可能です。ただし、国等が実施する他制度と同じ経費を重複して補助対象にはできません。また、他制度の採択・実施状況による申請者の除外条件も確認が必要です。

申請サポートを利用できますか?

事業計画の検討・ブラッシュアップで外部支援を受けることはできます。ただし、事業計画の作成、内容の理解・確認、電子申請の主体は申請事業者本人です。

まとめ:日程変更と賃上げの実行可能性を先に確認

第1回の新事業進出枠は、新しい製品・サービスと新しい顧客層を組み合わせ、中長期的な付加価値向上・賃上げへつなげる大型投資に向く制度です。

これから準備するなら、次の順序で確認してください。

  1. 最新日程の「9月30日受付開始・10月30日18時締切」を確認する
  2. 企業規模、従業員数、創業年月、過去の補助金歴を照合する
  3. 新製品等と新市場を分けて説明する
  4. 下限750万円、自己負担、後払いまでの資金を試算する
  5. 付加価値、一人当たり給与、事業場内最低賃金を3~5年で実行できるか確認する

新事業進出枠までの投資規模が必要でなく、小規模事業者の販路開拓が主目的であれば、小規模事業者持続化補助金も比較対象です。

補助金の申請サポートは、DHorse社会保険労務士事務所と同一経営グループの株式会社DHorseが提供します。制度選定、事業計画の整理、申請書類の準備について、早めにご相談ください。採択や受給を保証するものではなく、電子申請と最終確認は申請事業者本人が行います。

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制度情報は2026年8月19日に確認しました。参照:独立行政法人中小企業基盤整備機構「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 第1回公募要領1.2版」「第1回公募スケジュール変更のお知らせ」「よくあるご質問」、中小企業庁「新市場・高付加価値事業の考え方」。公募要領、日程、様式、申請ガイドは改訂される場合があります。申請時に必ず公式特設サイトで最新情報を確認してください。

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