働き方改革推進支援助成金の対象設備一覧|POSレジ・勤怠など業種別に解説【2026年】

働き方改革推進支援助成金の対象設備・対象経費を業種別に探す記事のサムネイル

「POSレジに使える助成金はある?」「フォークリフトや測量機を導入したい」「勤怠管理システムの費用は対象?」と設備名から支援制度を探している経営者の方へ。

働き方改革推進支援助成金では、勤怠システム、POS装置、食器洗浄機、測量機、デジタル式運行記録計、電子カルテなどが、対象候補や公式事例として示されています。

ただし、「一覧にある設備なら必ず受給できる」という制度ではありません。現在の同じ作業と比べて、作業単位あたりの労働時間がどれだけ減るかを、客観的に説明することが中心です。

この記事では、2026年8月31日時点の厚生労働省の支給要領・申請マニュアル・活用事例を基に、対象事業者、対象経費14区分、業種別の設備一覧、対象外費用、削減効果の計算方法、発注前の順序を解説します。

結論からいうと、助成率は原則4分の3、一定の小規模事業者は5分の4です。ただし、設備代金に助成率を掛けた金額がそのまま支給されるわけではありません。

区分 助成率 対象経費100万円の場合 対象経費300万円の場合
原則 4分の3(75%) 75万円 225万円
常時使用する労働者数が30人以下で、コース所定の設備・機器等の導入・更新を行い、その所要額が30万円を超える場合 5分の4(80%) 80万円 240万円

実際の助成額は、「成果目標ごとの助成上限額・加算額の合計」と「対象経費×助成率」のいずれか低い金額です。1,000円未満は切り捨てられ、消費税の取扱い等によって申請対象額が変わる場合もあります。

個別企業が設備導入に使う主な3コースの上限目安は、次のとおりです。

コース 主な助成上限額 金額を見るときの注意
労働時間短縮・年休促進支援コース 成果目標①は最大150万円、②・③は各25万円。3目標の組合せでは最大200万円 賃金引上げ・割増賃金率引上げの加算を付けると上限が増える
勤務間インターバル導入コース 導入人数と休息時間数により、1企業あたり最大150万円 9時間以上か11時間以上か、対象労働者の割合等で上限が変わる
業種別課題対応コース 業種と成果目標により異なる。例として36協定の上限削減は最大250万円、所定外労働時間の削減は最大100万円 建設、運送、病院等、砂糖製造、情報通信・宿泊で選べる目標が異なる

例えば、厚生労働省の2026年度申請マニュアルには、600万円のセルフレジを導入し、5分の4で計算した額が480万円でも、賃上げ加算を含む助成上限額が433万円のため、受給額は433万円となる計算例が掲載されています。反対に、対象経費が30万円で助成率4分の3なら、上限額がそれ以上ある場合の計算額は22万5,000円です。設備価格だけでなく、どの成果目標を選ぶかで上限額が大きく変わります。

5コースすべての成果目標、賃上げ加算、割増賃金率加算の詳細は、親記事「働き方改革推進支援助成金【2026年】対象経費・5コース・申請期限」で確認できます。

結論|対象設備は「名前」ではなく4層で判断

働き方改革推進支援助成金の設備を公式事例・個別検討・対象外に分けて判断するイラスト

働き方改革推進支援助成金の設備は、次の4層で見ると誤解を防げます。

位置づけ 見方
1 現行の支給要領にある具体例 POS装置、油圧式リフト、自動洗車機、自動食器洗い乾燥機、電子申請ソフト 有力な候補だが、仕様・数量・削減効果の個別審査がある
2 2026年版の公式活用事例 ハンディターミナル、食品加工機、自動車(バン) 実際の掲載事例だが、他社や現行申請の対象を保証しない
3 過年度の公式活用事例 測量機、電子カルテ、フォークリフト、スチームコンベクションオーブン等 労働時間削減の説明には役立つが、当年度の要領で再確認する
4 個別検討候補または原則対象外 類似用途の設備、PC、タブレット、乗用車、空調、内装等 例外要件や通常の事業活動費に当たらないかを先に確認する

設備を導入する目的も重要です。単に売上や生産量を増やすのではなく、例えば「2人で行っている作業を1人でできる」「毎日60分の二重入力をなくす」「夜間の積算作業を所定労働時間内に終える」といった変化まで説明します。

設備の契約・発注・購入は、原則として交付決定後です。導入を急いでいる場合ほど、販売会社への注文前に対象可能性を確認してください。

対象になる事業者|設備選定前の5チェック

中小企業の経営者が労災保険・年休管理簿・就業規則・成果目標を確認するイラスト

設備が優れていても、事業主や成果目標の要件を満たさなければ対象にはなりません。まず次の5点を確認します。

  1. 中小企業規模に該当するか
    業種ごとの資本金または常時使用する労働者数のいずれかを満たすか確認します。
  2. 労災保険の適用事業主か
    個別企業向けコースの基本となる要件です。
  3. 年休管理簿を作成しているか
    年休の付与実績にかかわらず、指定事業場の管理状況を確認します。
  4. 就業規則と実際の運用が一致しているか
    常時10人以上の事業場では、年休の時季指定に関する定めと届出等も確認します。
  5. 対象コースの成果目標に接続できるか
    36協定の上限短縮、年休の計画的付与、時間単位年休と特別休暇、勤務間インターバル等、対象コースの成果目標と設備投資をひとつの計画にします。

中小企業規模の目安は次のとおりです。「資本金または労働者数」のいずれかを満たすかで判断しますが、業種分類や例外は個別に確認が必要です。

業種 資本金・出資額 常時使用する労働者数
小売業 5,000万円以下 50人以下
サービス業 5,000万円以下 100人以下
卸売業 1億円以下 100人以下
その他 3億円以下 300人以下

5コースの選び方、助成率、上限額、加算の詳細は、親記事「働き方改革推進支援助成金【2026年】対象経費・5コース・申請期限」で確認できます。

助成対象となる経費一覧|設備費以外も14区分

設備費・ソフト利用料・コンサルティング・研修・設置費を整理したイラスト

支給要領は、助成対象経費を次の14区分に整理しています。会計帳簿上の名称が完全に一致する必要はありませんが、成果目標に向けた改善事業に関連する範囲に限られます。

経費区分 主な対象候補 注意点
謝金 外部専門家・講師への謝金 改善事業に関係する範囲に限る
旅費 専門家旅費、職員旅費 原則は公共交通機関の経済的・合理的な実費
借損料 設備・ソフトのリース、レンタル、SaaS・クラウド利用料、初期設定 事業実施予定期間を超える分は対象外。年額などは月割り
会議費 会場借料、通信運搬費、茶菓代等 会議の実施に必要不可欠な範囲
雑役務費 研修受講料、設備・ソフトの保守費 保守費も事業実施予定期間内の費用に限る
印刷製本費 研修資料、マニュアル等の作成 改善事業の研修・周知との関係が必要
原材料費 研修・実験等の資材購入 通常生産に使う原材料と分ける
広告宣伝費 求人広告、合同企業説明会、求人パンフレット 人材確保に向けた取組に限り、単なる商品PRは対象外
機械装置等購入費 設備・機器の購入、改良、設置・撤去、初期設定、社員研修、送料 設備自体が労働能率の増進に資すること
造作費 設備の据付けに必要な工事 対象設備の設置・利用に必要な範囲のみ。単なる内装は別
人材育成・教育訓練費 外部団体のセミナー受講費 生産性向上や労働時間等の設定改善との関係を示す
経営コンサルティング経費 社労士、中小企業診断士等の外部専門家支援 包括顧問料の全額ではなく、改善事業に対応する範囲
備品費 図書、ICカード、対象となる自動車、ソフトの購入・改良・設定・社員研修 乗用自動車等と汎用事務機器は原則対象外
委託費 調査、コンサル、システム開発、採用広告等の委託 自社開発は対象外となる取扱いがあるため実施主体を明確にする

研修、周知・啓発、外部専門家コンサルティング、就業規則・労使協定等の整備、人材確保にはそれぞれ経費上限があります。「経費区分に該当する」ことと「申請額の全額が認められる」ことは別です。

業種別の対象設備・システム一覧|設備名から探す

POSレジ・食品加工機・測量機・デジタコ・電子カルテを業種別に比較するイラスト

以下は、厚生労働省の現行支給要領、2026年版の公式事例、2022〜2024年版の過年度公式事例を業種別に整理した一覧です。

過年度の公式事例は、同じ設備が2026年度でも自動的に対象になるという意味ではありません。現在の要領、設備仕様、導入数、現行作業、成果目標との関係を再確認してください。

全業種の勤怠・労務管理設備

設備・システム 公式資料上の位置づけ 削減する作業の例
勤怠管理ソフトウェア・クラウド勤怠 現行支給要領の例 タイムカード集計、時間外労働の把握、給与システムへの転記
タイムレコーダー・ICカード・ICカードリーダー 現行支給要領の例、過年度公式事例 始業・終業時刻の手書き、入力ミスの修正、月次集計
勤怠ソフトと給与システムのAPI連携・RPA連携 現行支給要領の例 勤怠データの二重入力、不整合チェック、給与計算準備
労働時間管理用のPC使用制御ソフト 現行支給要領の例 時間外労働の確認、申請漏れの追跡、管理者への個別連絡
呼気アルコール測定システム(打刻・労働時間計算機能付き) 現行支給要領の例 測定結果と出退勤時刻の別管理、手入力、集計
労働保険の電子申請手続き用ソフト 現行支給要領の具体例 紙申請の作成、印刷、郵送、窓口往訪

小売業・卸売業・事務業務

設備・システム 公式資料上の位置づけ 削減する作業の例
POS装置・POSレジ 現行支給要領の具体例、過年度公式事例 会計、売上集計、在庫反映、軽減税率の手作業
自動釣銭機 過年度公式事例 釣銭授受、レジ誤差の確認、閉店後の精算
ハンディターミナル(業務用PDA)・在庫管理システム 2026年版の公式事例 手書き集計、商品情報入力、値札作成・貼り替え、管理PCへの往復
顧客管理システム 過年度公式事例 顧客情報の取りまとめ、ミス修正、複数台帳の照合
営業管理システム・自動見積りシステム 過年度公式事例 個別ヒアリング、要望整理、見積書作成
納品書・請求書・領収書の発行・管理システム 過年度公式事例 手書き帳票の作成、月末集計、書き間違いの修正
物販対応マルチ自動販売機 過年度公式事例 店頭の手売り、会計、来客対応

飲食店・宿泊業

設備・システム 公式資料上の位置づけ 削減する作業の例
自動食器洗い乾燥機・業務用食器洗浄機 現行支給要領の具体例 手洗い、すすぎ、拭き上げ、乾燥待ち
スチームコンベクションオーブン 過年度公式事例 仕込み、火加減調整、調理の付きっき、小分け加熱
POSレジ・自動釣銭機 現行要領の例・過年度公式事例 オーダー・会計・精算・売上集計
予約・オーダー・会計連携システム 類似用途の個別検討候補 電話予約の転記、厨房への伝達、会計への再入力

製造業・食品加工業

設備・システム 公式資料上の位置づけ 削減する作業の例
チューブ印字プリンター 過年度公式事例 印字、配線識別、動作テスト、印字かすれの再作業
ホットスタンプ機 過年度公式事例 金属箔の貼り付け、機械待ち、次工程の時間外作業
リアオートシール機 2026年版の公式事例 2人で行う重量物の封入、袋のセット
カンショ洗浄研磨機 2026年版の公式事例 農作物の洗浄・研磨、手作業
食品脱水機 2026年版の公式事例 脱水、乾燥待ち、複数人の手作業
ボイラー・豆乳絞り機 過年度の公式資料に関連設備として掲載 食品製造工程の加熱、絞り、待ち時間

建設業・土木業・自動車整備業

設備・システム 公式資料上の位置づけ 削減する作業の例
自動追尾型測量機 過年度公式事例 2人測量を1人化、ピント調整、別現場からの応援
新型測量杭打ち機・重機用センサーユニット 過年度公式事例 測量・杭打ちの人数、熟練者の付き添い、作業手戻り
土木工事積算システム 過年度公式事例 過去工事の検索、単価確認、設計書・積算書の照合
フォークリフト 過年度公式事例 足場資材・塗装缶の手積み・手下ろし、複数人作業
油圧式リフト 現行支給要領の具体例 自動車整備時の持ち上げ、ジャッキ作業、姿勢変更
自動洗車機 現行支給要領の具体例 洗車、すすぎ、拭き上げ、複数人の分担
施工管理用タブレット 過年度公式事例 現場写真のPC取込み、台帳整理、事務所と現場の往復

運送業・物流業

設備・システム 公式資料上の位置づけ 削減する作業の例
デジタル式運行記録計(デジタコ)・読取装置・分析ソフト 現行支給要領の明記・過年度公式事例 運転日報、出勤簿作成、労働時間集計
10トン貨物自動車・新型トレーラー 過年度公式事例 複数台での運搬、往復回数、複数の運転手
配車・顧客管理システム 過年度公式事例・個別検討 口頭連絡、類似情報の再入力、日報のとりまとめ
貨物車、乗合自動車、特種用途自動車 現行支給要領で費目上の対象候補 運搬回数、積み替え、送迎・作業の人数。車検証上の用途区分と効果を確認

医療業・介護業

設備・システム 公式資料上の位置づけ 削減する作業の例
電子カルテ・レセプト連携 過年度公式事例 カルテとレセプトへの二重入力、紙の検査データ保管、会計・精算
デジタル画像診断システム 過年度公式事例 X線撮影の準備、フィルム運搬、保管庫への収納
内視鏡自動洗浄機 過年度公式事例 内視鏡洗浄、新人指導者の付き添い、工程管理
能動型自動間欠牽引装置 過年度公式事例 患者への装着、施術中の付き添い、次の患者の準備
介護記録・請求・勤怠連携システム 労務管理機能や同質作業の削減により個別検討 介護記録の転記、請求、勤怠集計、実績照合

農業・園芸業

設備・システム 公式資料上の位置づけ 削減する作業の例
温室温度自動調整機器 過年度公式事例 温度確認、窓・空調の手動調整、夜間・休日の巡回
自動水やり機器・自動灌水設備 過年度公式事例 ほ場・温室の水やり、移動、ホース準備、担当者の待機
帳票・請求・配達管理システムと電子端末 過年度公式事例 配達先での納品書・請求書・領収書の手書き、月末精算

表にない設備でも、現在の同質作業の時間を減らす仕組みを説明できれば個別検討の余地があります。一方、表にある設備でも、同等機への単なる買い替えや、受注量を増やすだけの計画は対象になりません。

厚生労働省の公式活用事例|設備導入で何時間減ったか

設備導入前後で作業人数と作業時間が減る公式活用事例のイラスト

対象可能性を説明するときは、設備の価格より、導入前後の作業がどう変わるかが重要です。厚生労働省が紹介した事例から、数値化の仕方を見てみましょう。

1.文具小売業:ハンディターミナルと1日約30分の短縮

2026年版の事例では、バーコードを読み取るハンディターミナルと管理システム・レジの連携により、手書き集計、商品登録、値札作成等を省力化しました。結果として、1日あたり約30分の作業時間短縮と2人作業の1人化が紹介されています。

2.食品加工業:3設備で封入・洗浄・脱水を効率化

リアオートシール機、カンショ洗浄研磨機、食品脱水機を導入した事例では、2人で行っていた10kg袋の封入を1人作業にし、乾燥作業の時間も短縮しました。「設備1台で何分」だけでなく、工程全体で余った人員を他工程へ移せる効果まで説明しています。

3.建設業:自動追尾型測量機で月約100時間の削減

測量業務を2人から1人で実施できるようにした事例です。杭16本あたり、25日間、2人×8時間で合計400時間だった測量を1人にし、もう1人を他業務へ配置することで、社内全体の時間外労働を月約100時間削減したとされています。

4.広告業:営業管理と自動見積りで残業を1日1時間削減

定型ヒアリングと自動見積りを導入した事例では、顧客要望の回収作業が約44%、見積書発行が約42%短縮され、時間外労働は1日平均約1時間減少しました。

5.医療業:内視鏡自動洗浄機で40分から10分へ

熟練者が新任者に指導しながら内視鏡を洗浄していた事例では、自動洗浄機の導入により、1〜2人で40分程度かかっていた作業を1人で10分程度にし、1日の労働時間を30分程度削減しました。

6.建設業:フォークリフトで積み下ろしを省力化

総重量2トン程度の足場資材や塗装缶を手作業で積み下ろししていた事例では、フォークリフトにより、足場資材は1日約2時間、塗装缶は1日約1.5時間の作業時間を削減したとされています。

7.飲食店:スチームコンベクションオーブンで休憩を確保

ガスコンロでの仕込み・調理を自動化し、1回の調理量を増やした事例です。作業時間の削減に加え、料理提供までの見通しが立ち、休憩時間を1時間増やせたとされています。

8.農業:温度自動調整と自動水やりで作業を1割削減

温室の水やりと温度調節を手作業で行っていた事例では、自動調整機器と自動水やり機器により作業時間を1割削減し、新規顧客開拓の時間も確保しました。

これらの事例に共通するのは、「生産性が上がる」と抽象的に書くのではなく、作業、人数、回数、時間、手戻りを具体化していることです。

対象外・条件付きになりやすい費用

パソコン・乗用車・エアコン・内装・監視カメラの対象外リスクを確認するイラスト

「仕事に使う」「従業員が楽になる」だけでは、対象になりません。特に次の費用は、販売店と商談を進める前に確認が必要です。

費用・設備 原則 例外・確認点
PC、タブレット、スマホ、PCモニター等 汎用事務機器として対象外 POSや会計給与など特定業務専用システムを稼働させるための導入が明らかな場合は個別検討。長時間労働恒常化特例も別途ある
乗用自動車、送迎用の乗用車 原則対象外 貨物自動車、乗合自動車、特種用途自動車、福祉車両等は、車検証上の区分と労働能率増進を個別確認。長時間労働恒常化特例は過去2年間の36協定等の厳しい要件がある
空調服、スポットクーラー、エアコン、机・椅子 単なる不快感軽減・快適化として対象外 作業時間削減とは切り分けて考える
監視カメラ・防犯カメラ 通常備えるべき防犯設備として対象外 防犯目的と労働能率増進は別に判断される
内装工事、執務室拡大、建築物・不動産 設備・機器に当たらず、または単なる快適化として対象外 対象設備の据付けに必要な造作費は、必要範囲に限って個別検討
LED照明への交換、電気代削減 単なる経費削減として対象外 労働時間削減とは評価されない
同一機種・同等以下への買い替え 対象外 処理能力、自動化範囲、必要人数、所要時間の改善を比較する
新設事業場の通常設備、新規事業用設備 対象外 従来から行っている同質作業の削減比較ができない場合は難しい
長期保証、保険料、振込手数料、分割手数料 原則対象外 設備本体や対象期間内の保守料と分ける
リース、SaaS、サービス利用料、保守料 改善事業として認められれば対象候補 事業実施予定期間を超える分は対象外。期間・月割り・支払日を確認

乗用車やPC等を対象にできる「長時間労働恒常化特例」は、すべての指定事業場で交付申請日を含む過去2年間にわたり36協定が途切れず有効であり、同期間の特別延長時間が1か月60時間を超えること等が必要です。「今月は残業が多かった」程度で使える例外ではありません。

労働時間の削減効果を計算する方法|対象説明の作り方

経営者が設備導入前後の作業工程と労働時間削減効果を計算するイラスト

支給要領は、現状の作業方法、問題と所要時間、必要な設備の数、導入後に年・月・日あたり何時間削減できるかを、具体的・客観的に明らかにするよう求めています。

この考え方を経営者向けに整理すると、基本の計算式は次のようになります。これは公式申請様式そのものではなく、支給要領の判断軸を実務上整理するための本記事独自のシートです。

月間削減時間=(導入前の1回時間−導入後の1回時間)×1日の回数×月間稼働日数×関係人数

例:食器洗浄機の場合

項目 導入前 導入後の見込み 確認資料
1回の洗浄作業 45分 20分 実測、デモ運転、仕様書
1日の回数 3回 3回 作業日誌、営業日報
関係人数 2人 1人 シフト、業務分担表
月間稼働日数 22日 営業カレンダー、出勤簿
削減見込み 1回あたりの時間差と人数差を分けて計算 計算根拠と前提条件を保存

注意したいのは、機械が稼働している時間をすべて労働時間削減にしないことです。機械の運転中に従業員が監視するなら、その時間は残ります。準備、片付け、洗浄、保守、データ入力が新たに発生するなら、導入後時間に含めます。

また、外部に委託していた業務を内製化する場合のように、導入前後で比べる作業が同質でない場合は、労働能率増進の比較に使えないことがあります。

相談前に作る「設備1台1枚」の削減シート

  • 設備名、メーカー、型番、数量、主な仕様
  • 現在の作業工程と各工程の時間
  • 作業1回の人数、1日の回数、月間稼働日数
  • ミス、手戻り、機械待ち、移動、二重入力の時間
  • 導入後に消える工程と残る工程
  • カタログ、デモ結果、実測、従業員ヒアリングなどの根拠
  • 見積書、相見積書、納期、支払条件

申請から設備導入・支給まで|発注前の8ステップ

相談・相見積り・交付申請・交付決定・発注・導入・支払い・支給申請の流れを示すイラスト

2026年度の交付申請期限は2026年11月30日(月)17時です。ただし、国の予算額に制約があり、期限前に予告なく受付を締め切る場合があります。

  1. 対象事業主・労務書類を診断
    中小企業規模、労災保険、36協定、就業規則、年休管理簿、勤怠、賃金を確認します。
  2. 現在の作業を計測
    設備導入前の人数、時間、回数、手戻り、待ち時間を記録します。
  3. コースと成果目標を選定
    休暇制度、36協定、勤務間インターバル等の現状から選びます。
  4. 設備仕様と相見積りをそろえる
    原則として2以上の見積書が必要です。比較できるよう仕様、数量、設置、研修、保守の範囲を合わせます。
  5. 交付申請
    事業実施計画、見積書、労務資料等を本店所在地を管轄する労働局へ提出します。
  6. 交付決定後に契約・発注
    交付決定前の契約行為等は、対象に含められません。見積りを交付申請前に取ることは可能です。
  7. 導入・成果目標達成・支払い
    個別企業向け3コースは、原則として2027年1月31日までに事業を実施します。費用は支給申請日までに事業主または法人名義で支払いを完了します。
  8. 事業実施結果報告・支給申請
    納品書、設備写真、支払証憑、成果目標の証拠、効果検証資料を提出します。審査を経て支給額が決まります。

交付決定は受給確定ではありません。計画どおりの実施、成果目標の達成、期限内の支払いと申請、証拠書類が必要です。助成金は原則後払いのため、設備代金の立替資金も確保します。

当事務所の実務上の認識では、就業規則、雇用契約書、勤怠記録、賃金台帳、給与明細、実際の支給額の小さな不整合でも追加確認につながることがあります。数円の差で必ず不支給になるという意味ではありませんが、設備の対象性と労務書類の整合を切り離さないことが安全です。

自分で申請すると何が大変?申請書を埋めるだけでは終わりません

働き方改革推進支援助成金は、自社で申請することもできます。しかし、2026年度の申請マニュアルは200ページを超え、交付申請書だけでなく、設備の必要性、成果目標、見積り、労務管理、導入後の証拠まで一連の流れで組み立てる必要があります。

段階 主な作業 自力申請で負担になりやすい点
交付申請前 コース・成果目標の選定、36協定・就業規則・年休管理簿等の確認、現行作業の計測、設備仕様の整理、原則2者以上の見積り 設備販売会社の見積書だけでは足りず、「なぜ必要か」「何人の何時間が減るか」を資料化する必要がある
交付決定後 決定内容に沿った契約・発注、納品、設置、研修、成果目標の実施、期限内の支払い 機種、数量、価格、契約時期を勝手に変えると変更申請等が必要になる。交付決定前の発注は対象外となる
支給申請時 支給申請書、事業実施結果報告書、請求書・領収書・振込記録、設備写真、成果目標と削減効果の証拠を提出 申請時の計画と納品物、支払額、労務書類、実際の運用が一致しているかを再確認する必要がある

特に時間がかかるのは、資料を集めることよりも、36協定、就業規則、年休管理簿、勤怠記録、賃金台帳と申請内容の数字・日付・運用を一致させる作業です。不備の補正や追加資料の依頼が入れば、本業の合間に販売会社、従業員、労働局とやり取りすることになります。申請期限直前に労務書類の不足が判明すると、設備の検討が進んでいても申請準備が間に合わない可能性があります。

自分で申請したい方は、必要な労務書類の作成だけでも依頼できます

「申請自体は自社で行いたい」「費用を抑えたいので、難しい書類だけ専門家に頼みたい」という方もいらっしゃいます。DHorse社会保険労務士事務所では、助成金の申請代行・申請支援だけでなく、必要な労務書類の作成だけのご依頼にも対応可能です。

  • 労災保険の成立・年度更新等に関する書類
  • 36協定届、特別条項付き36協定の確認・作成
  • 就業規則、賃金規程、年休や特別休暇に関する規程
  • 年次有給休暇管理簿の作成・整備
  • 勤怠管理表、労働時間の集計方法、申請に必要な勤怠資料の整備
  • 賃金台帳、雇用契約書、労働条件通知書との整合確認

書類を作るだけでなく、現在の運用と合っているか、監督署への届出が必要か、今回選ぶ成果目標に対応しているかまで整理します。形だけの就業規則や実態と合わない勤怠資料を急いで用意しても、申請時の説明資料として十分とは限りません。

希望する進め方 相談できる内容
申請全体を任せたい 対象可能性の診断、成果目標・設備の整理、労務書類、交付申請から支給申請までの申請代行・支援
申請は自分で行いたい 36協定、就業規則、年休管理簿、勤怠資料等、必要書類の作成・整備だけを依頼
まだ申請するか決めていない 設備の対象可能性、概算助成額、不足している労務書類の診断

働き方改革推進支援助成金の対象設備でよくある質問

中小企業の経営者が対象設備の疑問を専門家に確認するイラスト

古い設備の買い替えは対象ですか?

単なる老朽化、同一機種、同等以下の能力への買い替えは対象にできません。新設備の自動化範囲、処理速度、必要人数、手戻り、待ち時間が改善し、労働能率の増進を説明できるかを比較します。

PC、タブレット、スマホは対象ですか?

原則は汎用事務機器として対象外です。ただし、POSシステムや会計給与システムなど、特定業務専用のシステムを稼働させるための導入が明らかな場合や、長時間労働恒常化特例の要件を満たす場合は個別検討です。

中古設備やリースは対象ですか?

中古設備は一律に対象外とは限りませんが、仕様、能力、価格の妥当性、取得先、支払い、効果の証拠を確認する必要があります。リース・レンタルは改善事業として認められれば対象候補ですが、事業実施予定期間を超える契約期間分は対象外です。

設置工事・初期設定・保守料も対象ですか?

対象設備の購入に必要な初期設定、社員研修、送料、設置・撤去、据付け等は対象候補です。保守料は事業実施予定期間内の範囲に限ります。設備と関係ない内装工事や長期保証は含められません。

車両は対象ですか?

乗用自動車等は原則対象外です。貨物自動車、乗合自動車、特種用途自動車、福祉車両などは対象候補となり得ますが、車検証上の用途区分、価格内訳、運搬回数や必要人数の削減効果を個別に確認します。

業務改善助成金とどちらを使うべきですか?

働き方改革推進支援助成金は、労働時間の削減、年休、特別休暇、勤務間インターバル等の成果目標と設備投資を結び付ける制度です。業務改善助成金は、事業場内最低賃金の引上げと生産性向上の設備投資を組み合わせる制度です。同じ設備費を両方に重複計上することはできません。賃上げと設備投資が主目的なら「業務改善助成金の対象経費・設備事例」と比較してください。

会社を設立したばかりでも使えますか?

設立からの期間だけで一律に判断できません。ただし、新設事業場に通常必要な設備を揃えることや、従来行っていなかった新規事業の設備は改善事業にできません。過去の労働時間実績が必要なコースもあるため、個別の状況を確認します。

交付決定されれば必ず支給されますか?

いいえ。交付決定後に計画どおり改善事業を実施し、成果目標を達成し、期限内に支払いと支給申請を完了する必要があります。実績報告・支給申請の審査を経て支給額が決まります。

設備の見積り・契約前に対象可能性をご相談ください

経営者が設備カタログ・見積書・作業時間資料を持って社労士に相談するイラスト

働き方改革推進支援助成金の対象設備は、「その設備が好きか嫌いか」ではなく、現在の作業、導入後の仕様、労働時間削減、成果目標、労務書類、費用の妥当性、実施順序の全体で判断されます。

ご相談の際は、次の情報があると検討を進めやすくなります。

  • 設備名、メーカー、型番、数量、仕様が分かるカタログ
  • 見積書、導入場所、納期、支払条件
  • 現在の作業工程、1回の時間、1日の回数、関係人数
  • 導入後に減る作業と、新たに発生する準備・保守作業
  • 36協定、就業規則、年休管理簿、勤怠記録、賃金台帳

DHorse社会保険労務士事務所は、設備の対象可能性の整理から、成果目標、就業規則、勤怠・賃金資料、申請順序まで一体で確認します。申請全体の代行・支援だけでなく、「自分で申請するので、36協定や就業規則などの必要書類だけ作ってほしい」というご相談にも対応します。販売店への注文やリース契約の前に、対象可能性をご確認ください。

「この設備は対象候補になる?」「労働時間の削減をどう説明する?」「働き方改革推進支援助成金と業務改善助成金のどちらが合う?」という経営者の方は、働き方改革推進支援助成金の無料相談・お問い合わせよりご相談ください。

すぐに相談したい方はお電話ください。電話番号は052-898-4837です。設備の見積り前の確認、申請代行・申請支援、必要な労務書類だけの作成についても、お電話でご相談いただけます。

公的情報源と確認日

制度情報は2026年8月31日に確認しました。参照:厚生労働省「働き方改革推進支援助成金(労働時間短縮・年休促進支援コース)」「令和8年度 労働時間短縮・年休促進支援コースのご案内」「令和8年度支給要領(4月28日差替え版)」「令和8年度申請マニュアル」「働き方改革推進支援助成金・業務改善助成金活用の手引き(2026年6月)」「生産性向上のヒント集(2024年3月)」「生産性向上のヒント集(2023年3月)」「生産性向上のヒント集(2022年3月)」。過年度の事例は現行年度の対象を保証するものではありません。受付状況、要件、対象経費、申請様式等は変更されることがあるため、実際の申請・契約・発注前に最新資料と管轄労働局でご確認ください。

資金繰りに困らない経営者になれる!「公的資金の総合相談窓口」助成金&補助金をまとめて相談できる。事業に活用できる公的資金についてまずは相談してみる!愛知県名古屋市で助成金の申請代行ならDHorse社会保険労務士事務所にお任せ下さい。